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日本心エコー図学会第34回学術集会

ごあいさつ

大倉 宏之

日本心エコー図学会第34回学術集会
会長 大倉 宏之

岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科学(第2内科) 教授

このたび、第34回日本心エコー図学会学術集会を、2023年4月21日(金)~23日(日)の3日間、岐阜県岐阜市の長良川国際会議場において開催させていただくこととなりました。
私と心エコー図とのかかわりは、神戸市立中央市民病院 循環器センター専攻医として勤務させていただくことになった1992年にさかのぼります。そこで吉川純一先生、吉田清先生、赤阪隆史先生といった先生方にご指導いただく幸運に恵まれ、今日まで心エコー図とかかわり続けてきました。当時の心エコー図はカラーモード、パルスドプラ法、連続波ドプラ法が普及しており、すでに成熟した検査法であると思っていましたが、その後、コントラストエコー、3次元エコー、組織ドプラ法などの新しい技術革新や冠血流計測、負荷エコー、さらには血管内超音波や体腔内エコーといった新しいアプロ―チが次々に開発され、それが臨床の現場で普及していく様をみてまいりました。現在は心エコー図だけではなく、CT、MRI、核医学など他の循環器画像診断法とともに、マルチモダリティ―の時代となりましたが、それでもなお、ベッドサイドでリアルタイムに情報を収集できる心エコー図の存在感は決して色あせることはありません。
私たちの生活は新型コロナのパンデミックにより大きく変わりました。学会や講習会はオンラインでの開催、参加が当たり前の時代になりました。そんな中で、集合型の学術集会を地方で行うことの意義はなにかを自問自答することとなりました。そして出した答え、それが、今回のテーマである「地域と世界を結ぶ、新たな心エコー図体験 Welcome to a New Glocal Echo Experience」です。Glocalという言葉になじみがない方も多いかと思います。これは、Global(地球規模の)とLocal(地方の)を一つにした造語です。岐阜という地方は、多くの皆さんにとっては非日常の空間です。日常業務の隙間時間にオンラインで参加できる学会は大変便利ですが、学会に集中できない欠点があります。また、人との交流、ネットワーキングという重要な役割をオンラインでは果たすことができません。コロナの状況が許せば、みなさんにとっての非日常空間である岐阜に集まっていただき、心エコー図に集中し、活発な議論や交流を図ることができればと思っています。一方で、新型コロナが私たちにもたらした数少ない「恩恵」、それは世界中とオンラインでつながることができるようになったことだと思います。このことを最大限に生かして、地方にいながら世界の心エコー図のスペシャリストとつながって最新の知見を学ぶことのできる場にしたいと考えます。内容もマルチモダリティ―時代に即して、心エコー図を行うものが知っておくべき他の画像診断法や、カテ室で行われている侵襲的画像診断法である血管内超音波についても最新の知見を共有できるようにいたします。さあ、みなさんいつもの「検査室」を飛び出して、新たな心エコー図体験をしましょう!