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日本心エコー図学会第34回学術集会

企画趣旨

シンポジウム

シンポジウム「左室肥大に心エコー図とマルチモダリティ―イメージングで迫る」

企画趣旨

座長:土肥  薫(三重大学医学部附属病院 循環器内科)
赤坂 和美(旭川医科大学病院 臨床検査・輸血部)

新たな治療薬が登場した心アミロイドーシスやファブリー病を、早期に診断し、治療介入することの重要性が高まっている。日常診療で遭遇することの多い左室肥大を呈する患者の中に、治療可能な二次性心筋症が存在していることに留意が必要であり、肥大型心筋症との鑑別が重要である。また、近年進歩が著しい心臓MRI、CT、核医学といった画像モダリティによる解剖学的・機能的評価、組織性状評価は、心疾患診療において重要な役割を果たしている。とりわけ心筋症の診療においてはマルチモダリティ―イメージングによる包括的評価が行われており、総合的に評価する視点が必要となる。それぞれのイメージングの特徴を理解し、疾患による所見の違いを学ぶことは、心エコー図検査で左室肥大を認めたときに、どのように評価を行い、どのような病態を考えるかというプロセスにおいても有用である。本シンポジウムでは、心筋症における心エコー図検査、さらには各種画像モダリティの最新の知見を解説していただき、左室肥大への非侵襲的アプローチについて議論を深めたい。

シンポジウム「心不全診療に心エコー図を生かす」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:瀬尾 由広(名古屋市立大学大学院 医学研究科 循環器内科学)
合田亜希子(西宮渡辺心臓脳・血管センター)

心不全患者数の増加により心不全の進行を予防し、患者のQOLの維持改善、そして究極的には予後の改善をすることが求められている。その中で心不全の治療法は大きな変革期にある。心不全を疾患面で捉えると心機能、血行動態の評価は、病態の評価そして治療方針を決定する道標にとして重要である。しかし、ビジュアルバイオマーカーとして本当に役立つ心エコー図指標は何か、心不全治療の改革期にある今、一度整理してみる必要がある。
一方、心不全治療の核心はチーム医療にあることが広く認識されるようになり、基幹病院のハイエンド機器で評価するだけでは不十分なことは明らかである。クリニックの非専門医でも評価可能で、在宅医療などでも使用できる勘弁なエコー評価法を確立し広めていくことも本学会に課された喫緊の課題である。心不全パンデミックの前夜にある今日、どのようなエコーを行うことが心不全診療に貢献できるのか、そして課題は何か、このセッションが本心で討論できる場となることを期待したい。

シンポジウム「Mechanical Circulatory Support管理のために知っておくべき心エコー知識」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:岡山 英樹(愛媛県立中央病院 循環器病センター)
坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)

Mechanical Circulatory Support (MCS)のテクノロジーの発達は素晴らしく、その使用は急速に増加している。 我々は重症心不全治療のツールボックスの中に新たなデバイスを幾つか加えることができたが、果たして自在に使いこなせているだろうか。経験不足から思わぬ陥穽に陥ってないだろうか。患者選択、挿入タイミング、ICUでの管理、ウイニングの流れにおいて、血液生化学検査やスワン・ガンツカテーテルからのデータに加え、心エコーによる評価はキモ中のキモである。ECPELLAや心室中隔穿孔ではさらに複雑となり、心エコーを駆使し、ロジカルにウイニングへ持ち込む必要がある。VADについては非植込み施設においても遅滞なく植え込み施設へ繋げるために、どのような管理が行われているかを学ぶ必要性があるし、Destination therapyの時代は植込み施設だけではなくて連携施設を中心に不測の合併症に備える必要がある。本セッションでは心エコーを中心としたこれらのMCS管理の知識を共有し、「自家薬籠中の物」としてさらにその可能性を最大限に引き出していくことを目指し議論を深めたい。

シンポジウム「三次元心エコー図を先天性心疾患に生かす」

企画趣旨

座長:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)
倉岡 彩子(福岡市立こども病院 循環器科)

先天性心疾患(CHD)の心エコー診断は、本来複雑な三次元構造のものを、二次元の多断面スキャンを用いて心内構造を想像しながら組み立てていく。しかし、必ずしも正確な情報とはならない。三次元心エコー図は、volume renderingで、奥行きをもったリアルな映像を提供し、さらにMPR法でより正確な位置情報を持った詳細な二次元画像を表示し、CHD特有の複雑な共通房室弁逆流のメカニズムなどを明らかにする。一方、先天性心疾患では、重要な位置をしめる、複雑な形態である右室や単心室機能解析において、3D volume解析や3Dstrain法が発展してきた。
今回は、各視点からの三次元心エコーの実際の臨床現場での生かし方を共有できるセッションとなることを期待したい。

シンポジウム「三尖弁逆流と右心機能に心エコー図で迫る」

企画趣旨

座長:川合 宏哉(兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科)
村田 光繁(東海大学医学部付属八王子病院臨床検査学)

三尖弁閉鎖不全症(TR)は様々な心疾患の予後規定因子であり適切な治療が不可欠である。一方、実臨床においてガイドラインに即したTRの重症度評価を行った場合でも、メカニズムや血行動態への影響等を総合的に判断することは容易ではない。また、TRが予後不良因子である不可逆的な右心機能低下をきたす前に手術介入することが望ましいものの、明確な判断基準については十分なコンセンサスは得られていない。心エコー図は、弁機能だけでなく血行動態の評価が可能であり、3次元心エコー図は三尖弁の空間的構造の理解を劇的に改善した。そこで、本シンポジウムでは、心エコー図によるTRの評価法の実際および肺高血圧を含む様々な病態とTRの血行動態との関連を心エコー図でいかに評価するかを議論したい。

シンポジウム「腫瘍循環器アップデート」

企画趣旨

座長:根岸 一明(シドニー大学)
福田 優子(兵庫県立がんセンター)

2022年に欧州心臓病学会(ESC)から腫瘍循環器ガイドラインが出された。がん治療を広く網羅した内容であり、殺細胞性抗がん剤(アントラサイクリン系など)や分子標的薬(トラスツズマブなど)といった心毒性のある抗がん剤使用症例において、がん治療関連心筋障害(CTRCD)の管理における心エコー図検査、GLS(global longitudinal strain)は高い推奨度となった。しかし実臨床においては、GLSを用いてCTRCD治療介入することの是非やGLS精度管理など未だ課題は多い。
また、腫瘍循環器領域において心血管有害事象をきたすがん治療は増えている。とくに免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は心筋炎をはじめとした心血管毒性の有害事象が問題となることがある。ICIの適応疾患は増加の一途をたどっておりICI同士の併用や血管新生阻害剤との併用など、心血管有害事象に配慮が必要なレジメン/癌腫もあり心エコー図検査が重要な役割を果たすのだが、従来のCTRCDと異なる目線を持つ必要がある可能性がある。
本シンポジウムでは、心エコー図検査を通して現在および今後の腫瘍循環器診療について議論したい。

シンポジウム「左室拡張能診断の最前線 ガイドライン改定は近いか?」

企画趣旨

座長:井上 勝次(愛媛大学大学院 循環器呼吸器腎高血圧内科学講座)
田邊 一明(島根大学医学部 内科学第四)

心エコーによる左室収縮能診断は、主として左室駆出率(EF)や左室グローバルストレイン(GLS)を用いて行われる。一方、左室拡張能診断では、ASE/EACVI/JCSガイドラインで僧帽弁流入波形、E/e’、左房容量係数、三尖弁逆流速度を用いた評価が推奨されている。しかしながら、特にEFが50%以上のHFpEF症例で、左室拡張障害の評価が難しい症例が少なくない。
近年、左室拡張能診断の新たな心エコー指標として、左房ストレインや運動負荷心エコー指標が注目されている。また、カテーテルアブレーション治療や経皮的僧帽弁接合不全修復術の治療法の発展に伴い、HFpEF症例の中で左房リモデリングによるStiff LA syndromeが再び注目されている。さらには、HFpEFと診断された症例で心アミロイドーシスなど特異的な治療を可能とする疾患が含まれていることがあり、左室層別ストレイン解析が臨床応用されている。
近年、HFpEF症例は増加しており、心エコーによる左室拡張能診断は極めて重要である。心エコーによる左室拡張能診断ガイドラインの改訂が近いことが予想されている。本シンポジウムでは左室拡張能診断の最前線と題し、自由な発表や活発な議論を期待したい。

シンポジウム「VR/リモートでglocalな心エコー図体験を」

企画趣旨

座長:渡邉 崇量(岐阜大学医学部附属病院 検査部・循環器内科)
阿部 幸雄(大阪市立総合医療センター 循環器内科)

本シンポジウムのタイトルにある、glocalとは、世界(global)+地方(local)が語源のことばであり、近年のめざましいデジタルデバイスやVR技術の進歩を活用し、地域性も考慮しつつ、かつグローバルな視野を持つというような意味である。
2019年末からのCOVID-19パンデミックは、我々の日常にも大きく影響を与えた。特に我々が従事する心エコー図検査は患者との密な接触を要する検査であるため、医学や臨床検査を志す学生にとっては、実習の機会が失われることとなった。一方で、学会や研修会にwebでリモート参加するというスタイルが定着した。これは遠隔地からでも参加が容易になるなどの利点もある反面、経験がリアリティに欠けたり、ディスカッションが活発にならず受動的な学習になってしまったりするという欠点がある。
本シンポジウムでは、これらの欠点を補うべく、VR/リモートでまさに場所や時間を超えたglocalな心エコー図体験を目指す取り組みをご報告いただき、皆様と近未来を共有できればと考えている。

シンポジウム「ESUSとPFO」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:山本 一博(鳥取大学医学部 循環器・内分泌代謝内科)
湯田  聡(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 心臓血管センター 循環器内科)

卵円孔開存(PFO)は、一次中隔と二次中隔の癒着が不完全なため、スリット状に開存した状態であり、奇異性脳塞栓症などさまざまな病態と関連していることが知られている。また、PFOは塞栓源不明の脳塞栓症(embolic stroke of undermined source: ESUS)の原因の1つとして注目されている。最近、PFOを介した奇異性脳塞栓症の二次予防に経カテーテルPFO閉鎖術が保険適応となり、循環器内科医はESUS例を診た際、経食道心エコー法やコントラストエコーなどを用いて、PFOを確実に診断することが必要な時代となった。本シンポジウムでは、PFOに伴う奇異性脳塞栓症の病態、PFO診断における心エコー図検査の役割、経カテーテルPFO閉鎖術の適応に加え、術中における心エコー図検査の役割および術後のフォローアップの際の注意すべき点などを数多くPFO例を経験されている先生方と討論する予定である。

シンポジウム「心臓内の腫瘤を極める」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:芦原 京美(東京女子医科大学 循環器内科)
大門 雅夫(東京大学医学部附属病院 検査部/循環器内科)

心エコー図はCTやMRIなど他の画像モダリティに比べて時間分解能に優れ、心臓内腫瘤の評価や治療指針決定に不可欠な役割を果たす。ここでは、腫瘍や血栓症などの心臓内腫瘤のうち、特に鑑別診断が難しいものや多角的検討を要するものを選んで取り上げた。各演者には教育的な症例を選んで画像を供覧していただく。本セッションを通して心臓内腫瘤の心エコー図診断における知識を深めるとともに、その問題点についても議論し、実り多いセッションになることを期待している。

シンポジウム「COVID19時代の心筋症up-to-date」

企画趣旨

座長:渡邊 博之(秋田大学医学部 内科学講座循環器内科学分野)
高野 真澄(福島県立医科大学 疫学講座/ 心臓血管外科)

COVID-19の病態の中心はウイルス性肺炎であるが、流行初期より感染者での心筋トロポニンの上昇が相次いで報告された。その後発表された総説などからも、感染者においては一定の割合で心筋障害が起こり得るものと考えられている。心筋障害の機序として、SARS-CoV-2が直接心筋を傷害するウイルス性心筋炎、全身炎症と凝固系の活性化による急性心筋虚血、重症感染症による組織低酸素・敗血症の影響,肺血栓塞栓症・急性心不全・たこつぼ型心筋症の合併によるものなど複数の機序があり、それに応じて病態も異なる。画像診断においては、鋭敏に心筋壊死や線維化などを評価可能な心臓MRI検査の有用性を述べた報告が散見されるが、無症状例や軽症例での報告がほとんどであり、重症例や感染急性期例では施行すること自体が困難である。一方、心エコー図検査は重症例でも感染初期から施行可能であり、実際に感染症例で左室壁運動異常が約20%に認められたことや心原性ショックを呈した劇症型心筋炎症例なども報告されている。しかし、いまだその知見は十分とは言い難く、本シンポジウムでは、稀ではあるもの、この3年間で新しく登場してきた「COVID19感染にともなう心筋疾患」という新しい疾患概念を皆さんと共有し、そのエコー所見から病態を討論することで知識を深めていきたいと思う。
さらに、ワクチン接種後心筋炎や既存の心筋症についても、このCOVID19時代に入ってから新しく得られた知見もあり、それらを皆さんに知っていただき、臨床現場での問題解決の一助となれれば幸いである。

シンポジウム「僧帽弁逆流の治療戦略に活かす心エコー図」

企画趣旨

座長:渡邉  望(宮崎大学医学部機能制御学講座循環動態生理学分野)
林田 晃寛(心臓病センター榊原病院循環器内科)

僧帽弁逆流の成因を正しく評価し最良の治療選択に導くためには、正しい解剖学的・機能的診断に加え、個々の患者背景に基づく判断が不可欠である。心エコー図検査はその診断過程の中心的役割を担い、チームで画像を理解し議論を深めることが求められる。器質性逆流・機能性逆流いずれにおいても、弁の性状や形態のみならず心機能や血行動態を含めた診断が重要であり、心臓外科医やカテーテル治療医を含めた知識の共有と共通の視点が必要となる。本セッションでは、検査技師や心エコー担当医の他、外科医やカテーテル治療医、心不全管理を担う集中治療医など僧帽弁逆流の診断治療に携わる様々な立場の目で診る心エコー図の役割を話し合いたい。

パネルディスカッション

パネルディスカッション「中等度の弁膜症の臨床的インパクト」

企画趣旨

座長:泉  知里(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
渡辺 弘之(東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター)

高度弁膜症は最適解が見つけやすい課題です。年単位で更新されるガイドラインは、世界の知見を集めれば、どのハートチームも最適解を見いだせることを示しています。しかし、日常臨床ではより多くの中等度弁膜症症例が存在し、個別の回答を求めています。それらの症例では、自覚症状も心エコー図指標も様々な組み合わせでパズルを作っています。多様な要素で示された重症度が足並みを揃えて一致することは少なく、重症度指標や予後への影響などの解釈を巡り、ハートチームのディスカッションが結論に至らないことも経験しています。そう!今や中等度弁膜症こそ、私達の次の課題です。今回のセッションでは『中等度』弁膜症にフォーカスしその診断や予後予測、最適な治療など、様々な視点で考察します。是非ご一緒に、ここから始まる次の課題解決に参加しませんか。

パネルディスカッション「運動負荷心エコー図が有用であったケースから学ぶ」

企画趣旨

座長:平野 豊(近畿大学医学部医学教育センター)
中谷 敏(社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会千里病院)

心エコー図検査はその患者の診断、病態解明、予後予測、そして治療適応まで幅広い場面で必須の検査である。しかし、個々の症例において安静時の心エコー図所見だけでは明確な判断を下せず、診断や治療に苦慮する場面を経験することも多い。負荷心エコー図は安静時と負荷時の心エコー図を比較して、その違いを観察できるため、安静時には判らなかった診断や、新たな病態生理の発見や解明を臨床現場にもたらせくれる検査である。
しかし、負荷エコー図検査も十分とはいえない。運動負荷が確実に実施された時には、得られた情報は有用である。しかし、特に高齢者であればほとんどが、下肢疲労のため負荷不充分で終了する。その中で、負荷エコー図は何を最も評価すべきなどであろうか。さらに負荷心エコー図は種々の心指標を評価できるが、全てを同時に評価できない。つまり評価するには優先順位が必要となるが、その順位をどうするのかについては、個々の症例で異なるはずである。検査の記録は心エコー記録者に任されているが、負荷後に予想と違う状況が生じることもあり、慌てることも少なくない。
本企画では負荷エコー図を実施した症例を提示していただき、負荷心エコー図実施時に工夫している点や有用であった点はもちろん、そうではなかった点、予想とは違い明らかになった診断、病態生理、治療適応などについてもパネルディスカッションの形式で議論を深めていきたい。また、これまで負荷心エコー図を行っていなかった施設にも新たに負荷心エコー図法を開始する際の一助となる様なディスカッションをしたいと考えている。

パネルディスカッション「冠動脈血流評価の意義を見直す」

企画趣旨

座長:平田久美子(大阪教育大学 養護教育講座)
田中 信大(東京医科大学八王子医療センター 循環器内科)

虚血性心疾患の診断・治療は、ISCHEMIA試験の結果を受けて大きな変革期を迎えています。虚血の存在・広さを示すのみでなく、虚血の強さ、その時間経過の情報が非常に重要となっています。さらに胸部症状の改善を目指すためには心筋外冠動脈に狭窄性病変を有さない心筋虚血、いわゆるINOCA(ischemia with non-obstructive coronary artery disease)診断の重要性が注目されています。INOCAに対する侵襲的診断手技が広まりつつありますが、その一方で、診断後の治療経過を評価・観察する非侵襲的検査法はいまだ確立されていません。
様々な病態・状況において、心筋虚血の状態を非侵襲的かつ定量的に評価可能な心エコー図法による冠動脈血流評価は、今まさに求められている検査法であり、その意義を再認識すべき時代がきています。

パネルディスカッション「心エコー図におけるAIの最前線」

企画趣旨

座長:楠瀬 賢也(徳島大学病院 循環器内科)
鍵山 暢之(順天堂大学 循環器内科)

心エコー図の世界の新しいトピックとして、AIを用いた研究が注目を浴びている。AIを用いると、心エコー画像を直接的に処理して自動的な診断、計測アプリケーションを作るのみでなく、今まで普通の読み手には判別するのが難しかった様な、心筋の性状やアミロイドーシス沈着などの深い情報を読み取ることができる可能性がある。さらに、この数年でこういった技術に関して、純粋な「研究段階」が既に終わろうとしており、実臨床においても有用であるというエビデンスが作られ始めている。本セッションでは基調講演としてAIにおける基礎と、最先端のエビデンスを紹介し、国内での意欲的なAI研究の演題を取り上げて議論を深めたい。

パネルディスカッション「先天性心疾患における右室拡張能評価」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:新居 正基(静岡県立こども病院 循環器科)
齋木 宏文(岩手医科大学 小児科学講座)

心臓の収縮と拡張は密接に関連しており、心室の負荷状態に応じて修飾されうる拡張特性は極めて重要である。先天性心疾患における右室は様々な後負荷状態に置かれる。二心室循環において右室が肺循環ポンプを担う場合においても、先天性心疾患では肺高血圧や肺動脈狭窄などの様々な後負荷の状態に置かれている。一方、修正大血管転位や心房スイッチ術後の完全大血管転位では右室は左室の代わりに体循環ポンプの役割を担う。また、単心室循環における右室は、Fontan循環という特異な循環系でのポンプの役割を果たす。このような様々な負荷環境に晒された右室の拡張能をどう評価すればよいのか?未知の分野であるが、エキスパートの先生方とともに議論を深めたい。

パネルディスカッション「先天性心疾患の成人への移行期医療における心エコー図の役割」

企画趣旨

座長:岩永 史郎(埼玉医科大学国際医療センター心臓内科)
石津 智子(筑波大学 医学医療系 循環器内科)

小児科医や心臓外科医の努力によって小児先天性心疾患の治療成績が改善され、成人まで生存する患者が増加している。このような患者では、小児期に受けた手術の遺残病変や続発症に加えて、動脈硬化・加齢性疾患など成人に特有の病態にも目を向ける必要がある。先天性心疾患の成人への移行期医療では、患者本人が自らの心臓を理解し、自己決定できるように支援するプロセスが重要である。また、小児科から成人循環器診療科へ診療を継続して引き継いでいく際にも、心エコー図を通じた情報共有が重要である。成人心エコーラボにおいても、心エコー検査に関わる医療関係者が成人期先天性心疾患患者の特性を踏まえて心エコー経過観察を引き継ぎ、切れ目のない生涯診療を実現していく行うことが不可欠である。このパネルディスカッションでは、移行期医療に力を入れている医療機関の取り組みを紹介し、どのような検査が望まれるかを明らかにする。

検査室を飛び出せ!

検査室を飛び出せ!「Beyond Echocardiography」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:高木  厚(済生会 川口総合病院 循環器内科)
寺島 充康(豊橋ハートセンター)

検査室を飛び出せ!「手術室にて:術中エコー」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:室生  卓(倫生会みどり病院 心臓弁膜症センター内科)
大倉 宏之(岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科)

心エコー図検査に従事する医師や技師は、いまや検査室にとどまらず病院の様々な場所で活躍する時代となった。心臓手術やSHDインターベンションにおいて心エコー図は合併症の早期診断、エンドポイントの決定に大きな役割を演じている。本セッションでは、手術室における術中エコーの現状と未来についてエキスパートに大いに語っていただく場としたい。

検査室を飛び出せ!「救急外来にて:FoCUS/POCUS」

企画趣旨

座長:山田 博胤(徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域循環器内科学)
山田  聡(東京医科大学八王子医療センター 循環器内科)

臓器別の専門領域に限らず、救命救急医をはじめとするすべての医師が診療現場で全身をスキャンするpoint-of-care ultrasound (POCUS) が注目されており、このうち心臓を対象とする検査はfocused cardiac ultrasound (FoCUS) と呼ばれている。このなかで、心不全の診断にFoCUSのみならず肺のPOCUSが盛んにおこなわれるようになってきた。すべての医師が行うFoCUSと血管や肺のPOCUS、循環器医が行ういわゆるlimited TTEやadvanced FoCUS、あるいは肺POCUS、さらには看護師などの他職種に広がるPOCUSの活用法と実際、問題点を提示して、将来展望を討論したい。このように裾野が広がった多数の検者に対する教育の方法論についても、卒前教育や研修医教育を含めて検討する必要がある。

日本を飛び出せ!

日本を飛び出せ!「海外留学のススメ」(すべて指定演題となり、公募はありません。)

企画趣旨

座長:根岸 一明(シドニー大学)
古林  紫(Cardiovascular Research Foundation / Stanford University)

COVID19パンデミック前後で世界は一変した。Pre-COVID時代には比較的多くの先達が心エコー関連の海外留学に行かれており、現地の情報も比較的入手しやすかった。オンラインでのコミュニケーションが便利になった一方で、パンデミックより留学の機会を逸した方、早期帰国をされた方もおり、世代の断絶がみられる。そのため、実際に現在海外在住者の生の声を聴く機会は限られている。 一方、「医学のエビデンスが英語で報告される」という事実はCOVID前後で変化しないばかりか、加速された。現在、世界の多くの国はWith COVIDの時代に突入したが、心エコー関連の海外留学事情はどのように変化したのだろうか?本セッションでは、最近留学から帰国された先生のみならず、現地でポジションを獲得・またはラボを運営している先生から最新の情報や経験をシェアしたい。日本の若手心エコー医が海外で学ぶきっかけになれば幸いである。